国会質問

質問日:2016年 4月 27日 第190国会 内閣委員会

ヘイト対策の強化を 池内氏に大臣が警察への教育明言

質問する池内さおり議員=4月27日、衆院内閣委

質問する池内さおり議員=4月27日、衆院内閣委


【記事】
 

 日本共産党の池内さおり議員は4月27日の衆院内閣委員会で、熊本地震に乗じて「ライオンが逃げた」「ショッピングモールが燃えている」などの流言飛語がツイッターで拡散した問題をとりあげました。

 池内氏は、今回は市民の良識ある対応で収束したが、関係行政機関によるデマを打ち消す情報発信が必要だと主張しました。その上で、とくに「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」という流言飛語について、関東大震災以来、災害が起きるたびに同様のデマが繰り返されていると指摘。背景には政府がヘイトスピーチに対して厳しく対処してこなかった問題もあると述べ、政府がヘイトスピーチを禁止する意思を明確にするよう求めました。

 池内氏は、3月27日に東京都新宿区内でヘイトスピーチデモに抗議した市民3人が警備の警察官に首を絞められるなどの暴行を受けた事件を取り上げ、警察官の中にヘイトスピーチをする側への共感があって起きたのなら看過できない重大な問題だと指摘。警察官には、直面しているさまざまな人権課題に即した人権教育を徹底すべきだと迫りました。

 河野太郎国家公安委員長は「最近こうした憎むべきヘイトスピーチ、それを行うデモが行われるようになってきた現況に鑑み、それに沿った適切な教育をしっかり警察の中でもやるよう指導したい」と答弁しました。

  「しんぶん赤旗」2016年5月1日(日) (写真提供:しんぶん赤旗)

【国会会議録】

○池内委員 日本共産党の池内さおりです。
 熊本、大分を襲った今回の地震の直後に家が倒壊する中で、避難指示も出されて、住民は非常に混乱をし、どうすればいいかという不安を募らせていたと思いますし、今もそうだと思います。被災した方、あるいは避難生活をされている方の不安を少しでも和らげていくことも政府の重要な役割だというふうに思います。
 正しい情報を迅速に発表する責任が政府にあると私は思いますが、官房長官はどのように考えますか。

○菅国務大臣 政府としての立場でやはりできるだけ確かな情報を迅速に被災地の皆さんに送るということは、極めて重要だというふうに考えております。

○池内委員 今回、大きな地震が断続的に続いているということで、指定避難所の建物そのものに倒壊の危険が増して、避難所から出される人々が多くいらっしゃいます。危険な避難所から退避をするということは重要だと思うんですけれども、その後、行く先をフォローし切れていないという方々も大勢いらっしゃる。

 また、今回の地震では、子供がいるからとか持病があるからと集団での避難生活というのに気兼ねをしたり、屋内が怖いということで、地震の恐怖から車中泊をされている方々も多くいらっしゃいます。こうした避難所以外の場所に避難している方には情報や物資が十分に届かないという声が私のところにも届いているんです。

 こうした方々に迅速に情報と物資を届ける、こうした人員や手段の確保が急がれなければならないということ、私はそう思うんですけれども、河野大臣は防災担当大臣も兼ねていらっしゃるので、きょうおいでですので、この点をちょっとお伺いしたいんです。

○河野国務大臣 今回は、確かに指定避難所以外に避難されている方も大勢いらっしゃいますし、また余震に対する恐れから車の中で寝泊まりをしているという方も随分いらっしゃっているようでございます。
 行政といたしましては、国、県、市、あらゆるレベルでそうした方を把握するように努めておりますし、また行政のツイッター、フェイスブック、ホームページといったものでそうした方にもさまざまな情報を提供するように努力しておりますが、やはりそこには限りがございます。

 今、政府といたしましては、さまざまなNGO、NPOと連携して情報の提供あるいは物資の供給といったことを広く行っているところでございます。また、専門家のさまざまなチーム、今、JMATですとか保健師さん、薬剤師さんのチームも現地に入っていただいております。また、循環器学会のような専門家のチームも入っていただいておりますので、そうした方々に、指定避難所だけでなく、それ以外の避難所あるいは車の多くとまっている駐車場などを回っていただいて、そこで情報提供をしたりニーズを吸い上げたり、あるいは必要な物資を供給したりという支援をしていただいているところでございますので、我々としては、あらゆる手段を使ってそうした方に情報あるいは物資を提供してまいりたいと思っております。

○池内委員 ぜひ進めていただけたらと思っています。
 さらに、今回の地震では、14日の最初の地震直後から、混乱に乗じて、ツイッター等のソーシャルメディアを通じて被災した方々の不安をあおる目に余る流言飛語があふれ返ったというふうに認識しています。
 総務省と警察庁はどんな流言飛語があったかつかんでいるか、その中身をお答えください。

○種谷政府参考人 お答えいたします。
 警察といたしましては、今回の地震に関連いたしまして、ツイッター等において、地震のせいでうちの近くの動物園からライオンが放たれたですとか、熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだですとか、イオンモール熊本が火事になったですとか、川内原発で火事、大津町で強姦事件が多発しているといった、事実と異なり不安感をあおるようないわゆるデマが流布された状況を把握しているところでございます。

○大橋政府参考人 お答え申し上げます。
 総務省といたしましても、報道等で報じられている内容については承知をしておりますけれども、それ以上の詳しい内容等については承知をいたしておりません。

○池内委員 電気通信事業者を所管する総務省がこうしたデマツイートをつかんでいないというのは怠慢じゃないかということを私は指摘したいと思います。
 そこで、今、警察庁から説明していただいた内容について真偽を一つ一つ確認したいんですけれども、熊本の動物園からライオンが逃げ出した、これは本当ですか。

○種谷政府参考人 お答えいたします。
 警察といたしましては、インターネットで流布された、ただいま申し上げました情報については、そのような事実は把握しておらず、デマであったと判断しております。

○池内委員 イオンモール熊本クレアが火事というのは事実ですか。

○種谷政府参考人 ただいまも答弁させていただきましたように、先ほど答弁いたしましたような情報につきましては、それらのような事実は把握しておらず、デマであったと判断しております。

○池内委員 では、熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ、これは事実ですか。

○種谷政府参考人 ただいま申し上げましたように、そのような事実は把握しておりません。

○池内委員 全て事実ではないと。
 取り上げた3つを私は確認しましたけれども、具体的にまた警察庁に確認しますが、いつ、どういう対応をしましたか。

○種谷政府参考人 お答え申し上げます。
 災害の発生時にこうした意図的にデマを流すような行為は、いたずらに混乱を招くとともに不安をあおるものであるということで、極めて問題であると認識しております。

 警察におきましては、住民からの情報提供ですとかサイバーパトロール等を通じてこういったデマの流布の状況を把握した上で、避難所におけるチラシの配布ですとか、ツイッター等によりまして被災者に対する正確な情報の提供、行政機関等の信頼できる情報源で真偽を確かめて行動していただきたいとの注意喚起といった取り組みを講じているほか、警視庁のほか他県警察から派遣された女性警察官等が避難所を今巡回して防犯指導ですとか相談対応等に当たるなど、被災者の方々の不安感を払拭するための取り組みを進めているところでございまして、こうした取り組みを通じて被災者の方々の安心の確保に努めているところでございます。

○池内委員 指導員などの配置というのはぜひともやっていただきたいし、リツイートしないようにとか情報源を確かめて、そういう呼びかけも大事だというふうに思うんですけれども、ただ、今回の最初の地震があった14日の夜、デマツイートが本当に飛び交って、あっという間にネット上にあふれ返った。

  こうした動きに一番最初に対応したのは、心ある市民とか、あとヘイトスピーチに対するカウンター活動をしている皆さんでした。みんな大変なときにこんなうそはやめてほしい、そんなツイートはデマだ、事業者に削除依頼を出しましたと、一つ一つのデマツイートに対して、一つ一つ打ち消すための行動を皆さん起こされていた。中には、イオンモール熊本クレアが無事であることを証明するためにわざわざ現地の方が撮影しに行ってツイートをして、いや、無事ですという情報を発信していた方もいらっしゃった。その結果、デマツイートが徐々に鎮静化していったという経過をたどりました。これは市民の良識のあらわれであって、私は本当にすばらしいことだというふうに思う。

  その一方で、やはり行政が果たす役割というのが明確にあると思うんです。被災した方、あるいは避難生活をされている方の不安を少しでも和らげる、これは政府の重要な役割であって、その一つに正しい情報を発信していくということがやはりあると思うんです。
 今回は、繰り返しますけれども、市民の良識、この対応で比較的早くデマツイートが収束をしていった。でも、場合によっては取り返しがつかない事態だって考えられ得る事態だったというふうに思うんですね。

  そのため、やはり市民の良識に委ねることを基本としながらも、デマの内容に応じて行政機関が、事実関係を確認した上で、これは違う、こういうツイートはしないでください、デマなんだ、流言飛語だと迅速に発表していくことが大事ではないか、サイバーパトロールもそのように活用してこそ効果があるというふうに思いますが、河野大臣のお考えはいかがですか。

○河野国務大臣 警察を初め行政機関はさまざまな情報を今回も流しておりますが、ツイッターのアカウントのフォロワー数は、決して行政が多いわけではございません。
 インターネットの社会というのは、むしろ行政などの制約がない、自由な中でつくられてきたのがインターネットであり、それをインフラとしてさまざまなことが起きているわけでございますから、少なくともそこで流されたツイートは今回のようにインターネットの中で良識ある方が打ち消しをしていく、そうやってこのインターネットというのは進んできたものでございますし、それを制約するというのは必ずしも効果的でもありませんし、うまくいくものでもありません。

  ツイッターのような匿名の人が情報を流すことができるサービスには当然一定のリテラシーが必要とされるわけでございまして、利用する方はそれをわかって御利用していただかなければならない。インターネットの社会というのは、国境もありませんし、誰がどういう情報を流すのも自由という世界でございますから、その中で正しい情報は何なのかということをより分ける能力も当然に一人一人に求められることになっております。

  行政はさまざまな努力をしないわけではございません。行政は努力をいたしますが、全て行政にそうしたことを求めるのは筋違いだというふうに思います。

○池内委員 私は何も、自由な社会を制約せよとは言っておりません。自由な社会を守るためにも、事実でないと明確なことに対しては、行政がきちんと正確な情報発信をすべきだということを求めています。

  きょう私が確認したように、ライオンが動物園から出たとか朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいるなどということは事実でないと警察自身が認識していたわけですから、こうした問題を行政の責任としてちゃんと公表せよ、きちんと情報提供せよということを私は求めています。

  その意味で、次に行きますけれども、現代というのは、まさに秒単位でツイートが拡散をしていく。政府のしかるべき部署が毅然とした態度で正式にやらなければ、その間にもツイッターでは、例えばイオンが火事だ、いや火事じゃないという双方の市民の間でのやりとりがあふれ返るわけです。

  今回でいえば、例えば火事だとすると総務省消防という官庁がありますし、朝鮮人が毒を投げ込んだといえば警察の所管になると思いますけれども、そうしたところがやはり正しい情報を発信していくということが住民の不安を打ち消していくことにもなると思うんです。やはり現場はどっちを信じればいいのというふうになりますので、不安をあおられる。
 同時に、流言飛語によってもちろん被災者も、そして被災者を救おうとしている救援組織や職員、自衛隊、支援者も振り回される、こういう影響があるということをしっかりと認識して、警察に限らず、流言飛語の内容によって、担当する行政機関がやはり一つ一つ打ち消す情報発信をしていただきたいということは重ねて求めておきたいと私は思うんです。

  ところで、今回、朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだという流言飛語は、決して許されない人種差別的発言であって、ヘイトスピーチそのものだというふうに思います。

  この発言のもとをたどれば、関東大震災のとき、口伝えとか張り紙で朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ、朝鮮人が放火をしたということにやはり行き着くわけです。関東大震災では、自然発生的な流言飛語というより、むしろ警察など行政機関の側が主導してこのデマが広がって、それに意識的に便乗した人たちを中心に、実際には何の罪もない朝鮮人、中国人、社会主義者が虐殺をされました。世界的に見ても、本当に非常に深刻なヘイトクライムに拡大をしていった。

  そして今、私は、こうした出来事というのは、決して過去のもう終わった話じゃないという恐怖さえ覚えるわけなんです。朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだという今回も流れてしまったデマは、今回の地震だけじゃなくて、広島の土砂災害のときにも繰り返されました。明らかに関東大震災のデマを模倣して今やられているというふうに思うんですね。

  私は、この朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだというのは、ライオンがおりから逃げ出したとかイオンモールが火事だというものとは本質的に違う、大目に見たり見逃していては大変なことになる悪質きわまりないものだというふうに思うんです。

  こうした言説の根底には一部の日本の人々の心に拭いがたい人種差別意識がある、そのあらわれだというふうに思います。こうした本当にどす黒い差別、偏見というものが目に見える形で顕在化して露呈した今回のデマとか、またヘイトスピーチを垂れ流しているデモなどに対して政府自身がやはり厳しく対処してこなかった。こういうことは許しちゃならないんだ、この立場に立って対応していくことが求められているというふうに私は思うんです。

  国連の人種差別撤廃委員会から日本政府になされた勧告について、改めて真摯に受けとめる必要があるというふうに思っています。2014年9月26日の人種差別撤廃委員会からの日本の第7回、第8回、第9回定期報告に関する最終見解では、ヘイトスピーチ及びヘイトクライム、第11パラグラフでどのようなことが言われているか。読み上げていただくだけで結構ですので、お願いします。

○飯島政府参考人 お答え申し上げます。
 2014年9月に公表された、我が国の政府報告に対する人種差別撤廃委員会による最終見解におきましては、ヘイトスピーチ及びヘイトクライムに関し、次のとおり記述されております。

 委員会は、締約国内において、外国人やマイノリティ、とりわけ韓国・朝鮮人に対し、人種差別的デモ・集会を行う右翼運動や団体により、差し迫った暴力の扇動を含むヘイトスピーチが広がっているという報告を懸念する。また、委員会は公人や政治家による発言がヘイトスピーチや憎悪の扇動になっているという報告にも懸念する。委員会は、ヘイトスピーチの広がりや、デモ・集会やインターネットを含むメディアにおける人種差別的暴力と憎悪の扇動の広がりについても懸念する。さらに、委員会は、これらの行動が必ずしも適切に捜査及び起訴されていないことを懸念する。

以上でございます。

○池内委員 その上で、委員会は締約国に5点にわたって具体的な措置をとるように勧告していますが、この5点を読み上げてください。

○飯島政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの最終見解におきましては、次の措置をとることが勧告されております。
 (a)憎悪及び人種差別の表明、デモ・集会における人種差別的暴力及び憎悪の扇動にしっかりと対処すること。
 (b)インターネットを含むメディアにおいて、ヘイトスピーチに対処する適切な措置をとること。
 (c)そのような行動について責任ある個人や団体を捜査し、必要な場合には、起訴すること。
 (d)ヘイトスピーチを広めたり、憎悪を扇動した公人や政治家に対して適切な制裁措置をとることを追求すること。
 (e)人種差別につながる偏見に対処し、また国家間及び人種的あるいは民族的団体間の理解、寛容、友情を促進するため、人種差別的ヘイトスピーチの原因に対処し、教授法、教育、文化及び情報に関する措置を強化すること。

以上でございます。

○池内委員 既にもう何度も私たちが今生きている社会というのは、国連の人種差別撤廃委員会が懸念していたようなヘイトスピーチの広がり、デモ、集会やインターネットを含むメディアにおける人種差別的暴力と憎悪の扇動の広がりといった問題に直面をしている。
 今回も、震災という多くの市民、国民が不安の中にあるときに、この不安と混乱、こうした心のすき間につけ入るような最悪の形と内容で発生をしています。私は、このことは決して軽視してはならないというふうに思うんです。デマの広がりで中国人や朝鮮人、社会主義者を虐殺したという経験を、ほかでもない私たち日本人が持っているということだと思うんですね。

 日本政府は国連の人種差別撤廃条約の四条を留保していますけれども、この特定の人種や民族に対する常軌を逸したヘイトスピーチは、差別をあおる暴力そのもの、ヘイトクライムにもつながりかねない重大問題というふうに捉えて、断固として禁止をしていく、その意思を私は政府が明確にすべきだと思います。
 今、参議院の議員立法で在日外国人への人種差別を禁止する法律案というのが提出されていますけれども、政府がやはり決断をすべきではないのか。

 菅官房長官にお伺いいたしますが、議員立法の審議がどうなろうとも、その結論を待つことなく、政府自身がヘイトスピーチを断固として禁止する、この決断を明確にすることが求められていると思いますが、いかがですか。

○菅国務大臣 一部の国や民族を排除しようという言動や人権差別は当然あってはならないことだというふうに考えております。
 そうした言動、差別への対応としては、現行法の適切な適用のほか、教育、啓発や人権擁護機関による救済手続等により差別等の解消につなげていく、ここが極めて重要であるという認識を持っております。また、政府としては、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成長した社会を実現するために、教育や啓発活動の充実にも努めてまいりたいと考えております。
 今御指摘をいただきました立法についてでありますけれども、与野党それぞれの議員提出に係る法案が国会で審議中であると承知しておりまして、政府としては、国会での議論の状況というものをしっかりと見守ってまいりたいと考えます。

○池内委員 繰り返しますけれども、やはり肝心なのは政府の決断だと。社会にもう既にあらわれている差別的現象には、その具体的なあらわれに対してやはり厳しく対処していくことが求められているということを指摘して、きょうは次に行きたいと思います。

 ヘイトスピーチに関連して、3月27日、東京都新宿区の大久保駅周辺で行われた右翼系団体によるヘイトスピーチデモに抗議をしていた市民が、現場警備に当たっていた警察官に首を絞められて全治約一週間の頸部挫傷という暴行を受けるなどという事件がありました。この事実経過はどうなっていますか。

○沖田政府参考人 お尋ねの3月27日のデモはいわゆる右派系市民グループによるもので、現場では、デモに抗議する多数の者がデモの進路となる道路上に寝そべり、座り込み、立ちどまるといった道路交通法に違反する行為をしておりましたことから、警視庁におきまして、道路における危険を防止し、交通の妨害を排除するため必要な措置を講じたものと承知しております。
 こうした警備措置の過程で警備に当たる警察官によりけがを負わされたとして、3名の女性から、警備に当たった警察官を被告訴人とする告訴状が新宿警察署に提出されたところでございます。

  告訴状によりますと、その概略は、警察官に衣服をつかまれて持ち上げられ、地面に打ちつけられ傷害を負った、警察官に両肩を突かれて後方に転倒させられ傷害を負った、警察官に首を絞められ、ガードレールに押しつけられ傷害を負ったとされているものと承知いたしております。
 警視庁におきましては、事案の解明に向けて必要な捜査を行っているところでございます。

○池内委員 私も当日の写真を見ましたし、実際に3人の女性たちからお話も聞いています。
 参議院では、このように加えて答弁されていますよね。「ある警察官が複数の人を歩道に戻そうとして、それは女性だったわけでありますが、その女性の肩に手を伸ばしたところ、結果的に女性の首に当たってしまい、そのまま歩道まで押してしまったもの」というふうに聞いておると。
 私があの写真を見た限り、たまたま首に当たってしまったなどということが通るような写真ではなかった。本当に誠実じゃない答弁に私は納得がいかない。本当に怒りを感じています。明らかに暴行で、行き過ぎだというふうに思う。
 決して身内に甘くしないで、捜査中ということですけれども、厳正に捜査していくということを河野大臣に求めたいと思います。

○河野国務大臣 その事案につきましては、警視庁で今、厳正に捜査中と伺っております。

○池内委員 決して身内に甘くならないようにお願いいたしたいと思います。
 警備のあり方を見ると、警察というのは一体誰の安全を守っているんだということがずっと疑われるような事態が進んでいるというふうに思います。

  先日、河野大臣は参議院の方でヘイトスピーチについて、「人々に嫌悪感を催させ、あるいは差別的感情を発生させる極めてゆゆしきデモであったというふうに思っております。 特定の民族や国籍の人々を排除するような差別的発言あるいは人種差別というものがあるのは極めて許し難いことであり、やはり一人一人の人権がきちんと尊重される、そういう社会をつくるべく我々は目指していかなければならないというふうに思っております。」このように述べていらっしゃいます。

  そうであるならば、やはり、その極めてゆゆしきヘイトスピーチデモはやめてほしいと抗議をしている心ある市民をこそ守るべきだと私は思います。

  これは、差別、偏見といった心の病ですよね。日常、ふとした出来事の中で具体的な行動となって目に見える、顕在化する問題だと思うんです。全ての人がそうした自分の心とやはり向き合って自覚して、それぞれが乗り越えていかなければならない問題だというふうにも思います。

  同時に、私が今回非常に懸念をするのは、今回の警察の案件が、個々の警察官の心にある偏見や差別、ヘイトスピーチをしている側に共感していたために起きた暴力だったのではないか。もしそうだったとしたら、これは看過できない重大な問題だと思います。

 先ほど触れた関東大震災のときには、むしろ警察官がデマを流布し、起きてはならない虐殺へとつながっていきました。現在、そんなことは起こらないと私も思います。けれども、一つ一つの問題を看過せずに、日常に存在している大小の差別、偏見、常にこういった問題が頭をもたげてくるわけですけれども、そのたびにやはり対処をしないといけないと思うんです。

 私は、今回の事件は、単なる警備上のちょっとしたトラブルなどという認識ではいけないというふうに思います。とりわけ警察官には、人権を守るという意識を一人一人徹底していただかなければならない。先ほどの河野大臣の御答弁というのは、私は本当にそのとおりだと思います。大臣のような認識に現場の一人一人の警察官が立たなければならない。
 そのためにも、警察官に対して、今現在起きている人権課題についての人権教育、単なる一般的な人権教育じゃなくて、今現在私たちが直面している課題についての教育をしっかりとやっていく必要があると思いますが、大臣、いかがですか。

○河野国務大臣 現在の法令下では、デモの申請があった場合に、その当事者の主張の内容いかんにかかわらず、不許可事由がなければ許可しなければならないものというふうになっております。

 こうしたデモが行われている場合に、警察は、円滑な交通の確保ですとかあるいは周辺の安全の確保といったことをやらざるを得ません。その状況の中で違法行為があれば、それは誰が行ったものであれ、その違法状況を解消することをやらなければならないのが警察の職務でございます。
 そうした中で、警察はこれまでも、人権に対する教育ですとか関係法令に関する教育というのをやってまいりました。あるいは、デモの現場でどのように対処したらいいのかという教育もやってきたわけでございますが、委員おっしゃるように、最近こうした憎むべきヘイトスピーチあるいはそれを行うデモというのが行われるようになってきた現況に鑑み、それに沿った適切な教育をしっかり警察の中でもやっていくように指導してまいりたいと思います。

○池内委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 政府には重い責任があると思うし、政府の対応で多くの市民、国民が励まされるという関係にもあると思います。ヘイトスピーチは許さないという断固とした態度がどうしても必要だと思います。やはり警察は、ヘイトの垂れ流しをとめようと必死で抗議している市民を守る視点でしっかりと人権教育をやっていただきたいし、求められているというふうに思うんです。

 今回私がこの問題を取り上げたのは、まさに先ほどから述べているように、東日本大震災や広島の災害のとき、そして今回の九州を中心とする大きな地震、こういう災害のたびにやはり過去をほうふつとさせるような人種差別的な言動が流布される、こうしたことが目に見える形で顕在化する、そのたびに私たちはやはり、だめだ、こういうことは許さないんだと明確に政治が態度を表明していくことが大事だというふうに思うから、今回この問題を取り上げさせていただきました。

 決して黙って見過ごさないんだ、我々は一人一人が尊重される社会をつくるんだということを私たち自身がやはり発信していかなきゃならないということを私にも言い聞かせて、今回、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

   (2016年4月27日 衆議院 内閣委員会議録より)

 

質問の映像へのリンク

https://youtu.be/qqqO-8zYZLA

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