国会質問

質問日:2017年 3月 10日 第193国会 内閣委員会

国が責任を持つ保育に 保育の質低める規制緩和を許さない

 

質問する池内さおり議員=10日、衆院内閣委

質問する池内さおり議員=10日、衆院内閣委

 【記事】

 日本共産党の池内さおり議員は10日、衆院内閣委員会で、保育の質を低める規制緩和と多発する認可外施設の死亡事故を示し、待機児童問題の打開に向け「すべての子どもに国が責任を持つ保育への転換を」と求めました。

 池内氏は、安倍政権が進める▽無資格者への代替を認める保育士配置基準の緩和と認可外施設の企業主導型保育の導入(16年度~)▽原則3歳未満児の小規模保育事業の対象を就学前まで拡大(10日、国家戦略特区法改定案閣議決定)などに触れ、いずれも保育士の専門性をおとしめる規制緩和で、「保育の質をないがしろにする法改定は絶対に許されない」と述べました。

 池内氏は、安心して預けられる認可保育園の増設を求める保護者の願いに反し、死亡事故が繰り返し起きていると指摘。死亡事故の発生率が高い認可外施設の実態について、加藤勝信担当相の認識をただしました。

 加藤氏は、「地方自治体独自基準および企業主導型以外(の認可外施設)では公的助成はない。最低限の指導監督基準にとどまっていることも死亡事故多発の背景にある」として、公的助成の重要性を認めました。池内氏は、担当閣僚が認可外施設の問題点を認める一方で、政府が企業主導型保育を推進していると批判し、「保育を金もうけの対象にしてはならない」と主張しました。

   「しんぶん赤旗」2017年3月12日(日) (写真提供しんぶん赤旗)

【国会会議録】

○池内委員 日本共産党の池内さおりです。
 きょうは、待機児童の解消と乳幼児の死亡事故について質問をさせていただきます。
 安倍総理が2月17日の衆議院の予算委員会で、平成29年度末までに待機児童をゼロにすることは厳しい状況になったという旨を答弁されていました。しかし、あくまでも目標は堅持をするということも述べられています。
 報道によると、6月に次なる待機児童解消プランを設定するということも表明されている。
 この待機児童解消ということを称して行われてきたことというのは、私は率直に言って、保育の量を確保するため質を軽視する規制緩和だったのではないかと。

 子ども・子育て支援法に基づく基本指針には、おのおのの子供や子育て家庭の置かれた状況や地域の実情を踏まえて、幼児期の学校教育、保育、そして地域における多様な子ども・子育て支援の量的拡充と質的改善を図るということが必要である、このように、量とともに質の改善が明記をされています。

 まず、大臣にお伺いいたしますが、6月にも明らかにされるという次なる待機児童解消プラン、これが、規制緩和で量を確保し質を犠牲にする、このような対策であってはならないと思いますが、いかがですか。

○加藤国務大臣 現時点では、その新たなプラン、具体的にどんな内容にするのか、カバーする期間をどうするかというのは決まっておりません。4月以降に明らかになる各自治体における待機児童の改善状況、実態を見きわめた上で、新たなプランを6月までに決定するということでございます。
 その際、私も子ども・子育て支援を担当しているという立場でございます。保育の質がしっかり担保されるよう、厚生労働省ともよく連携して対応していきたいと考えております。

○池内委員 率直に言って、私は、この間、政府が行っている待機児童解消の対策というのは、本当に規制緩和が相次いできたということを感じています。
 例えば、ちょっと振り返るだけでも、短時間勤務の保育士の導入とか、定員超過入所の規制緩和、その拡大、保育所設置主体の規制の撤廃、さらには児童福祉施設の最低基準の緩和など、本当に枚挙にいとまがない。そして今度、去年ですけれども、2月18日に、保育所等における保育士配置に係る特例というのが出され、通知ですけれども、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長名でこれを出されました。

 保育士の配置について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第三十三条二項はどのように規定していますか。

○吉本政府参考人 御指摘の条項でございますが、「保育士の数は、乳児おおむね3人につき1人以上、満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上、満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね20人につき1人以上、満四歳以上の幼児おおむね三十人につき一人以上とする。ただし、保育所一につき二人を下ることはできない。」と定められているところでございます。

○池内委員 この通知で、今御答弁いただきました規定のただし書きの部分を適用の除外として、二人目は保育士と同等の知識及び経験を有すると認める者で構わないというふうになりました。保育士のかわりに、幼稚園、小学校教諭また養護教諭で構わない。一日8時間を超えて開所する保育所の場合には、利用定員に係る配置基準よりも多くの職員配置が必要となるけれども、これも、基準を超えて配置した職員は、保育士資格がなくても構わないと。
 構わない、構わない、構わない、皆さんこのようにおっしゃるわけですけれども、この配置というのが、一応は特例だ、特例的運用だというふうになっていて、しかし、当分の間というのは一体いつまでなのかが全く見えない。特例というのであるから、当分の間というのはいつまでのことでしょうか。

○吉本政府参考人 待機児童の解消に向けましては、待機児童解消加速化プランに基づきまして、保育の受け皿拡大を進めているところでございますが、御指摘の特例につきましては、待機児童を解消し、保育士確保が困難な状況の背景にある受け皿拡大が一段落するまでの緊急的、時限的な対応というふうに考えております。

○池内委員 全然終期も見えない。これでは、まさに認可保育園の保育士の配置基準にさえ風穴をあけたこの特例が、特例なんかじゃなくて、常態化してしまう危険があるというふうに思います。

 学校の教員や病院の医師、看護師などの場合に、それにかわって、その資格がない職員がその不足部分を埋めるなんということは、私は考えられないと思うんですよ。保育士は国家資格です。相手が子供だからと甘く見ているのではないかと勘ぐりたくなる。幾ら緊急的、時限的対応とはいえ、政府自身が国家資格だと言っている保育士の専門性をおとしめていると言わざるを得ない現状が進んでいると思います。

 子ども・子育て新制度のもとで、地域型保育事業の小規模保育所B型などに至っては、職員の半分は保育士でなくてもよいなどといって最低基準を切り下げてきたし、しかも、規制緩和はこれにとどまりませんよね。本日閣議決定をされました国家戦略特別区域法改正案、これでは、原則三歳未満児を対象としている小規模保育事業について、特区内であれば小学校就学前の子供も対象とできるというふうにする中身であると聞いています。これで保育の質を大切にしていると言えるのか。私は、このような法改定というのは絶対に許してはならないというふうに思います。

 2月の24日には、院内で、保護者や保育士の皆さん、200人を超える皆さんが国会に集まったことは大臣も御存じだと思いますが、私もその現場に行き、ぜひ大臣にも来ていただきたかったんですけれども、私も行きました。そして、180万人を超える署名を受け取りました。
 私が規制緩和を今問題にしているのは、こうしたお母さんたちの叫びがあるからなわけです。お母さん、お父さん、保護者の皆さんは、どんな保育園でも預けることができればいいとは思っていないことはわかっていると思います。安心して預けられる認可保育所こそふやしてほしい、このことを皆さん口々に語られた集会だった。

 私は、この切実な、けれども本当に当たり前の願いですけれども、この願いを保護者が持たざるを得ない背景に何があるかといえば、保育施設における死亡事故だと。あってはならない現実が毎年のように繰り返されている現状があるということが、皆さんの願いの根本だと思います。
 保育園に預けたら子供が死んでしまう、こんなことを想定して子供を手放す親は一人もいないと思う。せめて子供が死なない保育を、このように私は訴えられましたけれども、この声は本当に切実だと思います。
 たった一件でもあってはならない事故、内閣府の資料でも、平成16年以降、6件から15件で毎年推移している。毎年毎年、それもうつ伏せ寝などの粗雑な扱いを受けた結果、命が失われている。本当に私はいたたまれないと思うんです。ことしも来年度も続けていいのか、こんな現状を。何か、命が失われることに鈍感になっているのではないかと思わざるを得ません。

 大臣にお伺いいたしますけれども、内閣府の資料で、平成16年から27年の保育施設等における死亡事故の件数、これは174件あります。そのうちの認可外が120件、68.9%を占めています。直近の平成27年でも14件中10件と、既に71%、認可外で起きている。この理由を、大臣、どのようにお考えになりますか。

○加藤国務大臣 御指摘のように、認可保育園等に比べ認可外保育園における死亡事故が多いというのは、そのとおりだというふうに思いますし、また、本当に大事な子供さんを預ける、そうした親御さんの立場からして、預けた子供さんのしっかりとした保育、その前提として、やはり安全というのがしっかり確保される、これは当然のことだというふうに思います。
 この死亡事故の原因はいろいろなものがありまして、施設類型との因果関係をなかなか分析するのも難しいところではありますけれども、一つの考え方、背景としては、子ども・子育て支援制度の対象である認可保育園等では、一定の基準を満たすことを条件に公的助成や公的関与が行われているわけでありますが、一方、地方自治体が独自に支援している保育施設や企業主導型保育施設以外の認可外保育施設では公的助成が行われていない、そして基準についても最低限の指導監督基準にとどまっている。こういったことも死亡事故件数の多さの背景にあるのではないかというふうに考えております。

○池内委員 まさにその基準の、やはりしっかりと最低限を上回るような保育施設が全国に広がるような対応というのが本当に必要だというふうに思うんです。その点で、やはり認可外というのは余りにもいろいろな規制の枠の外に置かれているということを私は痛感しています。
 指導監督基準に基づく指導監督がなされるというふうになっているわけですけれども、では、実態はどうなっているのか。

   東京都に幾つの認可外保育所があるか。私、数を聞いて、もう本当に驚くほどだったんですけれども、ことし3月1日現在で、認証保育所、事業所内保育所含めて1,696施設ある。そして認可施設は2,042施設もある。あわせて3,738施設があるわけですよね。大臣も御存じだと思うんですけれども。この3,738施設をたった18人の職員で今、見ているということなんですよ。不可能ですよね。
 国は、届け出対象施設には年一回立入調査を実施せよ、これが原則だと言っている。届け出対象外の施設は、できる限り立入調査をやれと言っている。この東京都の認可外保育施設への立入調査の実施率というのは一体、今、どうなっていますか。   

○吉本政府参考人 東京都からの報告によりますと、平成26年度の認可外保育施設の立入調査の実施率でございますが、1420施設中百39件、割合にして10%となっております。そのうち、ベビーホテルにつきましては、520施設中118施設、23%となっているところでございます。

○池内委員 本当にもう目を覆いたくなる現状ですよね。これで保育事故が防げるのかと。
 認可保育園に子供を入園させることができなかった保護者にとっては、もう背に腹はかえられないという思いで認可外を利用せざるを得ない状況が広がっています。保育の看板を掲げている施設なのに、ふたをあけてみたら、こんなに保育の質に違いがあったと。外形上の保育士基準の配置などは満たしていても、預けたら子供が亡くなりました、骨折しました、けがをしましたなどという事態があってはならないと思うんですよね。
 私は、死亡事故発生の割合が大きいと政府自身が統計でも認めている認可外をわざわざふやすのではなくて、認可保育園を抜本的に拡充することこそ進むべき道じゃないか。

 ところが、政府は、認可外の企業主導型保育事業、始まりましてもうすぐ一年たちますけれども、今以上にこの認可外をふやそうとしているのが実態です。
 企業主導型保育事業というのは、本当にこれも驚くべきシステムですけれども、認可並みの補助金を、税金を支出するにもかかわらず、自治体の審査も受けずに届け出だけで設置ができてしまうという代物で、認可施設並みの補助金というインセンティブまでつけて、行政とのかかわりの弱い保育を今後促進していこう、そうした魂胆を私、ひしひしと感じているわけです。しかも、保育士配置の有資格者というのは半分でいい。まさに保育の大安売り、大盤振る舞い、このような施しを企業主導型にしている。

 こうした認可外施設というのは、死亡事故が起こっても、報告義務さえないですよね。指導監督基準では、事故発生時に臨時の報告を上げさせることにはなっているけれども、決して法的義務が課されているわけではありません。
 先日の厚生労働委員会でも指摘をされていましたけれども、加藤大臣、内閣府の担当大臣として、企業型を初め、こうした認可外施設に、死亡事故発生に係る報告を義務づけるべきではないでしょうか。

○加藤国務大臣 認可外保育施設において発生した事故については、国に設置された有識者による検討会の中間取りまとめを受けまして、平成27年の4月から、これは課長通知ということでありますけれども、報告を求めているところであります。
 また、今御指摘ありました先日の衆議院の厚生労働委員会の質疑において、厚生労働大臣が認可外保育施設についても事故報告を義務づける意向を示されたということは承知をしておりまして、私としても、そうした対応を注視していきたいと思っております。
 いずれにしても、現状、事故報告がしっかり徹底されるよう、まず、今の事後報告の仕組みについて周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。

 それと、企業主導型保育のお話もありましたけれども、これについても、来年度から運営が本格化するところでございます。現在、どういう形で指導を行うか検討しているところでありますが、児童育成協会、これは委託している先でありますけれども、原則として、年一回の計画的な立入調査、必要に応じて抜き打ち調査を行うことなどを前提に、必要な体制整備を図っていきたいと思っておりますし、それについては、来年度予算にもその旨を計上しているところでございます。

○池内委員 努力方向は、ぜひ、もう本当にやらないといけないことだらけだと思います。
 ただ、先ほども指摘したように、やはり、昨年、認可保育園の保育士の配置基準さえ政府は緩和をした。国による累次の保育に係る規制の緩和のみならず、二〇〇〇年の設置主体の規制撤廃によって、民間企業が保育事業に参入が可能となっている。

  つまり、私は、今この国の子供たちというのは、営利追求の企業の参入で、まさに資本の利潤追求のやいばにもさらされている。これが今、どれほど保育の質の低下を招き、無抵抗な子供たちに保育環境の劣化となって襲いかかっているのかという、この現状の認識が私は大事だというふうに思うんです。

   現実の保育事故が、そのことを如実に示しています。
 東京都教育・保育施設等における重大事故の発生防止のための事後的検証委員会の報告書が三月八日に公表されました。この報告書は、昨年3月11日に1歳2か月の男の子が、株式会社アルファコーポレーションが運営する事業所内保育所で亡くなったことをまさに検証している報告書になっています。
 これを私は読むと、その当日のお父さん、お母さん、そのときのことがリアルに報告されていて、何度も涙が出る思いでした。とりわけ、この子は、泣いてしまうからと別のところに移されて、一人で寝かされていた、うつ伏せ寝をさせられていた。

 お父さんの手記があります。誰にも見守ってもらえずに、一人別室で苦しんで亡くなった。死後は、警察署の冷たい霊安所で二日間を過ごしたそうです。解剖されて切り刻まれて、亡くなってなおぼろぼろになって子供が戻ってきた。霊安所では、遺族は一日四回しか子供に会えず、ひたすら警察署の一室で、二日間、待ち続けたそうです。お母さんは、子供に会えないとわかっていても、解剖に向かう子供を、その後を追って、タクシーに乗って一人で追いかけたそうです。病院の外から、解剖されるその部屋を見詰めながら、子供の帰りを祈っていたと。この御夫婦のもとに生まれたお子さんは、本当に待望のお子さんで、もう二度と命は授かれないのではないかというふうな状況があるわけですよね。この子も帰ってこないし。

  私は、一件もあってはならないという保育事故にいつ政府が真面目に向き合うのかということ、本当に重大なことが続いているということを指摘したいと思います。
 この報告書の中では、意見書がいろいろありまして、私が注目するのは、契約はあくまでも個人とアルファコーポレーションのものとして、委託元企業が当事者としてかかわることはなかったと保護者が述べていることです。さらに、事業所内保育所といえど、企業は社員へ保育施設の利用枠を確保しているだけだ、この姿勢で、謝罪や補償については遺族とアルファコーポレーションでどうぞやってください、こういう姿勢だった。

  報告書の中でも指摘されていますけれども、委託元企業においても、委託先保育事業者と同様に、保育所が子供の健全なその発達の場となるように責任を負うべきだと私は求めたいと思います。
 このアルファコーポレーションは、保育事故を起こしておきながら、今も手広く事業を展開しています。検証委員会からの報告もやっと最近上がったばかりなのに、この業者による事業拡大など、もってのほかだ、保育事故を起こしたような事業はだめだと言わないといけない。

   当時の、まさに一年前の3月11日ですけれども、その当時の保育士の配置基準というのは、認可外施設の指導監督基準に抵触はしていなかったと言われていますけれども、有資格者の四人のうち、園長はたった1年3カ月、ほかの3人も1年から4年の保育経験しかなかった人物だと言っている。
 また、非正規の保育士というのは、この数カ所の系列園を日常的にかけ持ちする勤務形態で、日常的に子供に接しているというわけではなかったわけですね、一つの園で。日がわりの保育士さんだった。本当に、その方もつらいと思います。外形上、保育士配置基準を満たしていても、保育の質という点で重大な疑問が残る。目先の利益のために、保育士の人件費にしわ寄せをしていたのじゃないか。

  私は、認可外が全て悪いと言うつもりはないんです。しかし、事実、認可外施設での死亡事故が多くて、これは政府の統計でも出ている。そこへ来て、さらに政府は企業主導型という認可外をふやしていく構えだから、私は問題にしている。
 私、大臣にお伺いしたいんですけれども、この保育という、子供が育つ、人間としての力を基礎の部分でつけていく大事な時期、この保育がもうけの対象にされることはあってはならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○加藤国務大臣 今、保育においては、社会福祉法人を初めとして、さまざまな形態によって、それが運営されているというわけであります。民間事業だからこそ、もうけをしているから、そこに預かる子供さんの命がどうでもいいということでは当然全くないというふうに思います。
 それぞれの形態の中で、まず、保育の事業を行うのであれば、その事業の目的にしっかり対応してやっていくというのは当然のことだというふうに思います。

○池内委員 命を守っていくというのは当然のことだとおっしゃった。私は、ぜひその認識で保育をやっていただきたいと思っているし、私もそれを願っているんです。
 だけれども、この問題というのは、子ども・子育て新制度の仕組みそのものにあるというふうに私は思うんです。この新制度こそ保育の質の確保を困難にしているし、企業経営の保育所でその傾向というのが顕著にならざるを得ないシステムになっている。

   保育所運営費に当たる公費負担分の給付費というのがありますけれども、人件費、事業費、管理費という内訳で、人件費にどれだけを充てるかということは事業者の裁量に任されています。そのため、国家公務員の給与水準並みとはいえ、月額20万円程度、給付費、しかも、全てが人件費に充てられるというわけではない。その上に、今、保育業界全体が低賃金となっていて、そうすると、保育経験の浅い若手とか非正規雇用をふやせば、幾らでもこの給付金の金額を下回る給与で保育士を働かせることができる仕組みだ、こうなっているというわけですね、事実の問題として。つまり、子ども・子育て支援新制度というのが、賃金水準を下げて、企業のもうけをより大きくふやすことのできる仕組みとなっている。

 私は、政府が今、処遇改善、5%だとおっしゃっているけれども、全然胸を張れないと思います。たかだか一万円だし、しかも、保育の質が低下するのは、今述べてきたように認可外。これについては、結局は知らぬ存ぜぬということですよね、保育士の処遇改善について。こういう状態では、保育の質が低下するというのは、大臣、当然ではないでしょうか。

○加藤国務大臣 当然、認可外ということですから、そこには公的助成が基本的にはされていないというのは、それは委員のそのとおりだというふうに思います。
 また、今の公定価格のあり方でありますけれども、委員のお話のように、それぞれ、人件費、事業費等について積み上げをして設定をしているところでございます。
 ただ、保育所における支出については、それぞれの保育所によって、保育士の方々の経験年数等が違う、あるいは独自に保育士を加配している、あるいは、私立の保育所においては、給与水準や給与体系についてはそれぞれの保育所の経営判断に委ねざるを得ない、また管理費や事業費も多様性があるということで、それぞれの施設において柔軟に支出することを可能にしているのは事実でございます。
 そうした中で、他方で、保育所における賃金水準や人件費を含めた収支の実態を把握していくことが重要だというふうに考えておりまして、昨年12月にも、賃金水準については、その実態を公表させていただきました。
 今後とも、機会を捉えて、賃金やそうした経営の内容、収支の実態、こうした把握には努めていきたいと思っております。

○池内委員 実態把握というのはぜひやっていただきたいんですけれども、そうした観点でも、ただ漫然と実態ということではなくて、私、2013年8月に情報開示請求によって明らかにされた、横浜市の企業立保育所の運営費がどうなっているのかという、このデータはとても重要だと思うんですね。これは、2011年度における人件費の割合なんですけれども、横浜市で企業立の保育所の人件費というのは平均で53.2%だったわけです。一般的に保育所運営費における人件費の割合というのは70から80%である中で、極めて異常な安さとなっていた。
 なぜ、こんなことが起きてしまうのか。やはり、ちゃんと人件費にどれだけ当たっているのか、そして、国が定めている最低基準、保育士の配置基準が、外形上は満たされていても、先ほどのようにアルファの例もありますので、やはり勤続年数とか、そういう実態を丸ごとつかむような実態調査が必要じゃないでしょうか。

○加藤国務大臣 今の数字については、ちょっと私、手元で承知をしていないので何とも申し上げられませんけれども、当時であれば、例えば医療法人であれば施設に対する補助がない、そうすると、その部分を減価償却で落とさざるを得ない等々、いろいろな事情があるんだろうというふうに思います。
 ただ、いずれにしても、先ほど申し上げた経営の実態、収支の実態、これをしっかり把握していくことは当然必要だというふうに考えております。

○池内委員 これまで私、再三指摘してきましたが、専門性をやはりおとしめるような規制緩和はやめるべきだと思うんですよね。専門性をおとしめる、質をおとしめるような規制緩和が続く限り、保育士のなり手など、やはり誰も手が挙がらないだろうと思うんです。事実、厚労省の調査では、2013年で潜在保育士の数が約76万人ある。資格があるのに就業を希望しない理由のトップというのは、賃金が希望と合わない、これが47.5%だった。
 私は、この点で、とても注目すべき出来事が東京都北区であったので御紹介したいと思うんですけれども、公立保育園の保育士を80名募集したところ、500人を超える方々が応募された。区の常勤の正規の職員として募集をしたそうです。そうすると、こんなに手が挙がったということなわけです。聞けば、私立の認可園に勤めていた保育士さんたちも応募している。

 やはり、この北区の例を見ると、国が何をしなければならないか、どういう道を進めば保育士をちゃんと確保できるかというのは明白だというふうに思うんです。
 大臣にお伺いいたしますが、来年度予算案には保育士等の処遇改善等予算が計上されているわけですけれども、全産業の平均並みの賃金を保障する抜本的な処遇改善で保育士を確保すべきじゃないでしょうか。

○加藤国務大臣 今御審議をいただいております来年度の予算において、まず、保育所の整備を進めていく中において、保育士の確保というのは大変大きな課題となっておりますし、その上において、保育士の処遇の改善を図っていく必要がある。こういう認識の中で、ニッポン一億総活躍プランにも書いてありますけれども、まずは、保育士としての技能、経験を積んだ職員について、現在4万円程度ある全産業の女性労働者との賃金差がなくなるよう追加的な処遇改善を、2%の平均的な質的な改善に加えて対応することにしております。
 また、その上において、保育士についても必要に応じてさらなる処遇改善を行うとしておりまして、こうした方針に基づいて今後とも対応していきたいと考えております。

○池内委員 やはり私は、全産業の平均並みの賃金と、高い目標をちゃんと掲げて、規制緩和のやり方じゃなくて、王道を切り開くという点で、処遇改善の道を進めるべきだということは重ねて主張したいと思います。
 こうした中で、まさに遅きに失したと言わざるを得ない状況ですけれども、前向きな動きも進んでいます。
 一昨年、教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会というのが最終取りまとめを行い、地方自治体に事故の検証を実施するように通知を出しました。政府は、昨年4月に、教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議というのも設置をした。

 川口市の検証委員会の報告書が2月に出されました。その中の総括として、保育の質が十分に確保されているとは言えない状況があった、このように指摘をしている。認可外のベビーホテルでの事故ではありますが、施設長が保育資格を持っていなかった、保育士は、有資格者も含めて全員が非正規だった。配置基準にこれは触れるものではないですけれども、保育指導を行う主たる立場の者が確立していなかった可能性があるとも、この報告書が指摘をしています。
 保育体制の不十分さというのが事故の背景にあるという認識を明確に示している。東京都の報告書でも同様の指摘がされている。これら二つの報告を踏まえて、早急に事故防止策について有識者会議を開いて検討すべきではないでしょうか、大臣。

○加藤国務大臣 教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議、昨年四月に開催をいたしました。第一回を4月、そして昨年10月に二回目の会議をしたところでありますけれども、まず、検証報告を提出していただいた自治体からヒアリングを実施するなどして、再発防止策を検討していくということでございます。
 一回のヒアリングで大体三3件から5件程度取り扱っていただくことを想定しているところでありますが、現時点で川口市、東京都からの検証報告を提出していただいております。また近いうちに、あと数件の報告書が出てくるということも見込まれているところでございますので、年度明け、できるだけ早い時期にこの有識者会議におけるヒアリングを実施していただきたいというふうに考えております。

○池内委員 やはり、もう一件二件と報告書が上がっているわけですので、数件上がってくるというのを待たずに、ぜひ一日も早く。
 私は、報告書の事例が幾つか集まってから提言を行うという、このタイムラインのあり方にもちょっと疑問を感じます。たった一件もあってはならないという保育事故、それがもう既に報告書として上がっているのだから、早急に向かわなければならない課題だというふうに思います。
 川口市のこの報告書というのは、国に対して保育士の配置基準の見直しを求めています。私は、この指摘に国は真摯に応える必要があるというふうに思うんですよね。

 また、昨年十月の有識者会議で、御本人が委員でもあって、御自身が被害児童の母親でもあるという方が、教育・保育施設等における重大事故の発生防止に関する検討会、この最終取りまとめで、事後的な検証に係る地方自治体及び国の取り組みについて、現在は法令上の規定はないため、必要と判断される際には、法令等の整備などさらなる実効性ある取り組みを検討していく必要がある、こういうふうに指摘をしています。検討の必要性を、被害児童の母親でもある方がおっしゃっている。
 なので、やはり事故検証に係る国や自治体の取り組みに法令上の規定を与えていく、有識者会議の提言等に一定の法的裏づけを持たせていくということが必要ではないでしょうか。これは大臣にお伺いします。

○加藤国務大臣 有識者会議における提言に法的な拘束力を持たせる、ちょっと具体的なイメージが正直湧かないところはございますけれども、まずは現行の仕組みの中で、有識者から今後行われるであろう提言を真摯に受けとめて対応していくことが必要だろうというふうに考えておりまして、それに沿って再発防止をしていく必要があると思います。
 なお、有識者会議の前身の検討会の最終取りまとめに記載されたように、事後的な検証に係る取り組みについての法令等の整備については、現行の仕組みの運用状況を踏まえ、その必要性を判断していくということとされているところであります。

○池内委員 川口市のこの報告書を読むと、やはり保育士の配置基準を見直すべきだというような提言もあるわけなんです。やはりこうした声に真摯に向き合っていただきたいということが私の趣旨であり、法的な裏づけをつけていただきたい。単に聞いて終わりではなくて、そうした取り組みを進めていただきたいということです。
 これでそろそろ時間なんですけれども、私は、これまで失われてきたさまざまな子供たちの最期のあり方、どういう状況で死んでしまったかというその事例を読ませていただくと、本当にどれも防げた、守れた命だったということを痛感するわけですよ。

   体の機能がまだ未発達なのに、そういう乳児を炎天下、窓の近くに置いて、極めて高温になるところに放置をした例とか、うつ伏せ寝というのは再三言われている。うるさいからといって、タオルで口を塞いだり。
 私は、こういう事例はもう二度と生み出さない、言語道断な事例だということを、国としてやはり真摯に向き合うべきだというふうに思います。

  待機児童対策を口実にした保育条件の切り下げの常態化、これは直ちに反省をして改めるべきだと思います。背に腹はかえられぬという保護者の状況を政治が無責任にも生み出しておきながら、この切迫した待機児童問題への解消の対応としてはやむを得ないという保護者のこうした状況を奇貨として、さらなる保育条件の切り下げは、規制緩和は許されないということ、全ての子供に政治が責任を持つべきだということを主張いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

     (2017年3月10日 衆議院 内閣委員会議録より)

 

 

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