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性別記載は差別助長―マイナンバー、国試算根拠なし


2015年5月15日 第189国会 内閣委員会

○池内委員 日本共産党の池内さおりです。

きょうは、最初に、個人情報保護法改正案及び番号制度に関連して、いわゆる性的マイノリティーの方々、とりわけ性同一性障害の皆さんの人権保護、個人情報保護の問題について質問したいと思います。

個人情報保護法改正案では、新たに要配慮個人情報の定義を定め、その取り扱いについてより厳格に定めています。

要配慮個人情報の定義について改正案は、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪により害をこうむった事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取り扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいうと規定しています。

この新しい定義の意義について、山口大臣にお伺いいたします。

○山口国務大臣 ただいま先生からも若干お話がありましたが、この要配慮個人情報、これに関しては、人種、信条、病歴等々、事業者が正当な理由がなくて取り扱うことによって差別や偏見が生じるおそれがございます。特に慎重な取り扱いが求められる個人情報を、今回類型化して、特別の規律を設けるというふうなものであります。

このような規律を設ける意味合いといいますか、意義というのは、本人の同意を得ない取得を原則として禁止して、かつ、あらかじめ本人の同意を得ずに行う第三者提供の対象から除外をする、その規律を設けることによって、本人の意図しないところで当該本人に関する要配慮個人情報、これが取得をされること及びそれに基づいて本人が差別的取り扱いを受けることを防止する必要があるというふうなことでございます。

また、日本におきましては、要配慮個人情報に関する特別の規律が法律上設けておられなかったことによりまして、日本の個人情報保護の制度が十分な水準にあるというふうな認定がされませんでした。EUから日本に個人情報を移転することが制限をされておったということもございます。

そういったことから、個人の権利利益を保護しながら、国際的にも整合性のとれた規律とするために、要配慮個人情報の規律というものを設けることにしたわけでございます。

○池内委員 先日、参考人として意見を述べられた宇賀参考人は、ジュリストの鼎談の中で、要配慮個人情報について、情報の性質に着目してカテゴリカルに定める場合と情報が取得、利用されるコンテクストに着目する場合があると指摘し、続けて、「一般的には機微性に欠ける個人情報であっても、コンテクストによっては、きわめて機微性が高くなることは、ストーカー被害者にとっての住所情報を考えれば明らかです。カテゴリカルな機微情報の法定が、それ以外の情報が機微情報たり得ないことを意味するわけではないことには絶えず留意する必要があると思います。」と指摘をされていました。

基本四情報とされる住所情報も、ストーカー被害者あるいはDV被害者にとっては機微性が高くなる。基本四情報とされる性別の情報も、きょう私が取り上げる性同一性障害者を含むトランスジェンダーと言われる、性別に違和感を感じている人々にとって、とても機微性が高くなる問題だと考えます。

今回の改正案において、要配慮個人情報の規定に含まれない個人情報で、一般的には機微性に欠ける個人情報であっても、コンテクストによっては極めて機微性が高くなる場合があるということは明らかだと思います。こうした個人情報の取り扱いについて最大限配慮し、できることを進めていくことが、とりわけ行政機関には求められていると思いますが、山口大臣はどのようにお考えですか。

○山口国務大臣 私も先生のおっしゃるとおりであろうと思います。

実は、私も、この要配慮個人情報の府内の議論のときにも、こういうことはどうなんだということでコンテクストの一例を挙げて議論をしたわけでございますが、要配慮個人情報の取り扱いというのは、原則として本人の同意を必要とするなど、他の個人情報に比べて規律を強化するというふうなことになるために、事業者が萎縮をし、過度な負担とならないように、要配慮個人情報の類型というのは、差別や偏見等の原因となり得るものを、憲法の規定とか他の規律を踏まえて限定的に規定をするということが必要だとは思います。

ただ、他方、仮に要配慮個人情報に該当しないものであっても、その内容によっては、不適切な取り扱いによって権利利益侵害が明らかに生じるということは想定をされますので、事業者において状況を踏まえて慎重に取り扱わなくてはならないということは当然と考えております。

この点、先般の参考人質疑でもお話が出ておったようでございますが、要配慮個人情報にされなかったことで、配慮は要らないと反対に解釈をされるべきではないというふうな御認識があったようでございますが、これは私もそのとおりだろうと思っております。

したがいまして、そのような誤解が生じないように、今後、要配慮個人情報の内容や規律を設けた趣旨について周知する際にはしっかりと留意をしてまいりたいと考えております。

○池内委員 同じ質問を副大臣にもお聞きします。

○西村(康)副大臣 山口大臣がお答えになったとおりでありますけれども、一般的に機微性が高くない個人情報であっても、その内容によっては、不適切な取り扱いにより権利利益侵害が生じ得ることが想定されるものもありますので、そのような個人情報の取り扱いについては、必要かつ可能な限度で配慮すべきものと考えております。

○池内委員 一般的には機微性に欠ける個人情報であっても、コンテクストによっては機微性が高くなる、そして配慮が必要だという御見解でした。

私は、基本四情報とされる性別も、先ほど来指摘しているように、性同一性障害者を含むトランスジェンダーと言われる、性別に違和を感じている人にとって機微性があると考えます。

そもそも、性同一性障害については、その性別の記載に関して特別法がありますが、その認定要件などには議論があるところで、きょうはその議論は行いませんが、特例法がつくった枠に当てはまらず、性同一性障害であると認定されていない人の中にも、性別に違和を感じている人々は相当数存在しているということは私は指摘をしておきたいと思います。

続けて、法務省にお聞きします。

性同一性障害には強い偏見と差別があり、その人権保護は政府にとっても課題となっています。この点について説明をお願いします。

○岡村政府参考人 性同一性障害とは、生物学的な性、すなわち体の性と、性の自己意識、すなわち心の性が一致しないため社会生活に支障がある状態であるとされております。

性同一性障害に関しては、体の性と心の性との食い違いに悩みながら、周囲の心ない好奇や偏見の目にさらされたりして苦しんでいる人々がいるものと承知しております。

内閣府が平成二十四年八月に実施いたしました人権擁護に関する世論調査によりますと、性同一性障害に関し、現在どのような人権問題が起きていると思うかとの質問に対する複数回答として、職場や学校などで嫌がらせやいじめを受けるとの回答が三二・六%、就職、職場で不利な扱いを受けるとの回答が二八・八%、差別的な言動をされるとの回答が二八・一%などと複数回答でなっております。

○池内委員 今法務省がお示しくださったように、性同一性障害の人々は、社会の中で偏見の目にさらされて、場合によっては昇進を妨げられたりするなどの差別を受けてきました。根強い偏見や差別がある。性別を知られることによって不利益を受ける可能性がとても高い。当事者を含む市民の運動の中で、性別記載を削除する地方自治体もふえています。国においてもこうした配慮が始まっています。

厚労省にお聞きします。精神障害者保健福祉手帳の性別記載はどのようになっていますか。

○藤井政府参考人 お答え申し上げます。

精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉法施行規則において定められました様式に氏名、住所、生年月日、障害等級等を記載することとされておりますが、性別欄につきましては、性同一性障害の方への配慮から、これは、まず平成十八年より同欄への記載は任意とするような運用を行ってきたところでございます。

その後、そうした中で、平成二十五年に、やはり性同一性障害の方々の団体から性別欄の削除について御要望がございまして、これを踏まえまして、平成二十六年の四月より性別欄を削除したものでございます。

○池内委員 では、続けて、健康保険証の性別欄についてもお聞かせください。

○武田政府参考人 まず、国民健康保険証について申し上げますと、被保険者証における性別の表記方法につきまして、性同一性障害の方からの御要望を踏まえ、平成二十四年九月に、被保険者からの申し出により、やむを得ない理由があると保険者が判断した場合につきましては、戸籍上の性別を被保険者証の表面ではなく裏面に記載できることをお示ししてございます。

なお、この取り扱いにつきましては健康保険などでも同様でございますので、現在、各保険者の判断で適切に対応いただいているものと考えております。

○池内委員 健康保険証は、その健康保険証という性格から、性別を削除することはできないけれども、それを裏面に書いてもよいという方法で配慮されているということでした。

マイナンバー法では、性別を含む四情報が番号カード、通知カードに記載されることが法定されています。番号カードでは性別を表と裏どちらに記載することになっているか、お答えください。

○時澤政府参考人 お答えいたします。

個人番号カードには、番号法上、氏名、住所、生年月日、性別及び個人番号等を記載することとされております。

個人番号カードは、個人番号の真正性を証明する手段であるとともに、個人番号を利用しない手続におきましても広く本人確認書類として活用されるものでありますので、番号法上、個人番号の利用が認められない者が個人番号カードの券面をコピーするなどして個人番号を取得してしまうことがあり得ること、こういったことを考慮いたしまして、個人番号は裏面に記載することとしておりまして、その他の記載事項につきましては表面に記載することとしているものでございます。

○池内委員 性別を記載する必要があったとしても、裏面に記載するなどの配慮は行われましたか。

○時澤政府参考人 さまざま検討いたしましたけれども、先ほど申し上げましたように、個人番号が券面に表記されるということが、これを裏面にすることによりまして、利用が認められない者が不正にコピーすることを避けるということから必要であるということもありますので、現在のような取り扱いをすることが適当ではないかということで、現在決めたところでございます。

○池内委員 番号カードは希望しなければつくらなければいいとしても、その場合は必ず通知カードを提示することが求められるようになります。働いて給料をもらう人は、アルバイトの人も含めて番号の提供を求められ、その際には、番号カードをつくっていない人は、免許証など身分証明をするものとともに通知カードを提出しなければなりません。

その通知カードには性別を記載するということが法律で定められています。性別記載で苦しんで、差別を受けたり不利益をこうむっている人々が、漏れなく性別記載から逃れられない仕組みになっています。裏面に記載するなどの最低限の配慮すら今ないということが明らかになりました。これでは、マイナンバー制度というのは、法務省が指摘するところの、周囲の心ない好奇の目にさらされ、昇進などを妨げられたりするなど不要な人権侵害を引き起こして、偏見と差別を助長するものと指摘せざるを得ないと私は思います。

副大臣の御見解をお聞かせください。

○西村(康)副大臣 大変大事な御指摘をいただいていると思います。

性別を個人番号カードの表面に記載することについて、さまざまな議論があると認識をしております。個人番号カードを健康保険証としても利用することも想定しておりまして、その場合、保険医療の事務として性別の確認を行う必要があるということもございます。それから、今御指摘のあったような点も配慮が必要だということもあると思います。

こうしたさまざまな議論があることを承知しておりますけれども、今後、個人番号カードの用途も踏まえて、性別をカードの裏側に記載するかどうかについて、さらに検討を行っていく必要があるというふうに考えております。

○池内委員 事実の問題として、性別記載に苦しんでいる当事者が各地で声を上げて、国民健康保険証、介護保険証、年金手帳、障害者福祉手帳など、配慮を国も行ってきています。その上で、健康保険証の性別記載というのは、法律事項でなくて省令事項にすぎない。裏面に記載するなどの配慮もしています。

マイナンバー法は、番号カード、通知カードに漏れなく性別を記載することを定めている。しかも、番号カードでは、裏面に記載するなどの配慮を行うことも今後検討だということでしたので、ぜひこれは前向きに進めていただきたいというふうに思います。

もう一つお聞きしたいのは、この性別記載について、そもそも性別を記載することが本当に必要であったのか、真剣な検討が必要だったと思うんですが、その経過を教えてください。法律をつくるときの話です。

○向井政府参考人 お答えいたします。

マイナンバー法につきましては、基本的には住基台帳を基本としているということから、基本情報として四情報を書くというふうなことで、性別も書くというふうなことになっております。

○池内委員 番号法案をつくり上げる過程では、住民基本台帳ネットワークシステムと最高裁判決との関係が議論されてきたということは私も勉強させていただきました。

その最高裁判決は、基本四情報について、「秘匿性の高い情報とはいえない。」という判決をしています。でも、だからといって、そのまま基本四情報をオープンにしていいのかといえば、やはり私はそうならないと思うんです。

そもそも、住基ネットの場合、その情報が流れるのは基本的に自治体間のネットワークの中だけです。住民票コードも、いわば見えない番号でした。住民カードも、名前だけで性別の記載のないカードもつくることができるというふうになっていると思います。

ところが、今度は、見える番号として全員に付番されて、本人確認については、これまで性別記載のない運転免許証などでも進めることができたところを、この番号制度のもとでは、少なくとも性別記載がなされた通知カードを漏れなく提示しなければならない。住基ネットワークの判例をそのままマイナンバー制度に適用するには飛躍があるというふうに思います。

実際のところ、最高裁が「秘匿性の高い情報とはいえない。」といっても、これまでの議論で明らかにしてきたように、自治体や厚労省は、性別記載について、秘匿性が高い場合があると。そういうときにはいろいろな配慮を行ってきています。

やはり、マイノリティーの権利に行政が無関心であってはならないと私は思いますので、このマイナンバー法の法案づくりの過程で、ぜひとも今後も真剣な議論をしていっていただきたいと思います。

私たちは、マイナンバー法案に対して、深刻なプライバシー侵害のおそれなどがあるということを指摘して、反対をしてきました。性別記載の問題についても、このまま実施に突き進めば、人権問題をさらに大きく広げることは明らかであると思います。そのことを指摘して、きょうは次の質問に移りたいと思います。

マイナンバー法案の改正に関連して、マイナンバー制度の費用便益分析について質問をいたします。

十三日の参考人質疑で、私は、宇賀参考人がジュリストの鼎談の中で、国民への説明責任を履行するためには費用便益分析を示すべきだとの要求はマイナンバー法案の国会審議でも繰り返し出され、衆参の両院の内閣委員会では、費用対効果を検証した上で予算等を作成することが附帯決議されましたと述べていることを取り上げました。私も当時の議事録を調べてみましたが、党派に関係なく、多くの委員がこの問題を取り上げていました。しかし、結局、費用対効果の試算というのは、法案審議時には政府から提出がされませんでした。

西村副大臣にお尋ねいたします。政府は、この費用対効果の試算あるいは費用便益分析の試算を明らかにしていますか。

○西村(康)副大臣 お答えをいたします。

マイナンバー制度に係る費用便益分析についてでありますけれども、費用に関しましては、マイナンバー制度の導入に必要なシステム開発費用の見込み額等を、現行法の検討過程から、国会質問等を通じてお示しいたしております。

他方、効果に関しては、定性的な効果については検討過程からお示しをしているものの、定量的な効果を含むものについては、平成二十六年六月三日に、政府の第六十四回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部における甘利大臣提出資料として、マイナンバー制度の効果をお示ししているわけでございます。

そのマイナンバー制度の効果では、当面の効果と、それから職員の業務変更、業務そのものの見直し等を実施することにより得られる効果、それから制度を見直すことにより見込まれる効果について、それぞれ定性的な効果に加えまして、平成二十六年六月三日の時点において試算ができるものに限って、一定の前提を置いた大まかな試算、粗い試算を行った定量的な効果をお示ししたところでございます。

○池内委員 昨年六月三日に、甘利担当大臣は、第六十四回IT総合戦略本部において、マイナンバー制度の効果を資料として提出し、現時点で定量的に試算することができるものに限って試算をしましたが、例えば年間で九千百十人分の事務効率化が見込まれて、仮に、このうち、国、地方の税務職員等の効率化分を調査とか徴収等の歳入事務の方に充てますと、年間約二千四百億円の増収効果が見込まれますと発言をされています。

きょうは、そのときの資料を皆さんにお配りをさせていただいています。配付資料としてお配りしてあります。

ごらんいただくと、1当面の効果、2職員の業務変更、業務そのものの見直し等を実施することにより得られる効果、そして、3制度を見直すことにより見込まれる効果の三つに分けてあって、さらに、青色の部分が番号の活用、黄色がカードの活用、赤がマイナポータルの活用とされています。

資料の中段にある、2の職員の業務の変更、業務の見直し等を実施することにより得られる効果の「税・社会保険料の徴収及び給付の適正化」の最初の一番左上のところに、甘利大臣が発言された二千四百億円の税増収が記載されています。この二千四百億円というのは、どのように算出したものでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。

マイナンバー制度の導入に伴い整備する情報提供ネットワークシステム等の稼働により見込まれる国、地方の税務職員等の業務効率化分について、二千四百億円の増収効果があるとの試算に当たりましては、まず、当面の効果といたしまして、税務関係事務の効率化として掲げている千九百八十人分の事務について、職員の業務変更を前提に、仮に、調査、徴収事務に充てることとした場合の効率化分に、職員一人当たり見込まれる年間滞納整理済み額一・二三億円を乗じたものでございます。

この一・二三億円は、平成二十三年度の都道府県税の滞納整理済み額である九千五百十二億円を、その徴収事務にかかわる職員数の七千七百十六人で除した額として計算したものでございます。

○池内委員 つまり、都道府県の徴税職員一人当たりの滞納の回収実績一・二三億円を算出し、マイナンバー導入によって、その効率化で浮くであろう税務職員の人数千九百八十人を掛けて、二千四百億円を算出したということでいいですか。

○向井政府参考人 そのとおりでございます。

○池内委員 この式の意味というのは、二千四百億円算出の意味というのは、一人当たりの滞納の回収実績が一・二三億円なので、回収に当たる徴税職員をふやせばふやすほど税収が上がる試算になっています。千九百八十人ふやせば二千四百億円、一万人を仮にふやしたとしたら一兆二千三百億円の税収になる、そういう計算式になっているということでよろしいですか。

○向井政府参考人 どういうふうな表現にするかというのは、なかなかこういうものを出すときは難しいところでございますが、私どもといたしましては、一応、一定の仮定を置くということしか計算のしようはございませんので、現状の一人当たりの徴収額がふえた分もそのまま当てはまっておると仮定した場合につきましてはこういう額になりますという説明のもとに、こういうものを出しているということでございます。

○池内委員 職員をふやせば一人当たり一・二三億円の増収になるというのであれば、そもそも、マイナンバーの効率化と関係なく、職員をふやせばいい話だと私は思うんです。

しかし、現実はそんなことは全くないので、実際のところ、徴税の職員というのは横ばいで推移をしています。マイナンバーの効果として二千四百億円の税収増という甘利担当大臣の説明というのは、ほとんど非現実的な仮定の上に成り立っている、本当に私は絵そらごとではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。

地方の税務職員が必ずしもふえていないというのは御指摘のとおりでもございますが、それは、地方の財政的な面、いろいろな面があろうかと思っております。

そういう中で、マイナンバーのこういう、何といいますか、試算を出そうとするときには、当然、こういうものは行政の効率化というのが必ず出てまいりますので、人員の減というのが出てまいります。ただし、その人員の減というのは、人員の減として書いてございますが、その中で、それをどういうふうに表現するか。

そういう場合に、必ず、市町村長、知事の方は、市町村は人が足らない、だから、こういうので浮いたものを別の業務に充てて、ぜひ、サービスの向上あるいは徴税の強化等々に充てたいというふうにおっしゃいます。

そういうふうなことを踏まえまして、仮に、今足らない税務職員の人数を少しふやせば少し税収が上がるのではないかという考えのもとに書いたものでございますが、もちろん、これはあくまで仮定でございますので、こうなるというんじゃなくて、こういうふうな仮定を置いてこういう計算をすればこうなりますという、そういう説明でございます。

したがいまして、この数字を全部足したような効果みたいなものは、この紙に一つも書いてございませんので、そういうつもりでつくったものでは決してございません。

○池内委員 先日、坂本参考人も、職員の人が専念すれば取り立てられるものであれば、職員をふやして二千四百億円を取りに行った方が早いですよね、実際、税金が取れていないのは、例えば、赤字の企業が消費税を払うだけのお金も残っていないから払えません、こういうのがたくさんたまりたまっているはずなんですけれども、そういうところは、行っても取れないですよね、幾ら職員が暇になって取り立てに専念しても無理だというふうに発言されました。

リーマン・ショック、東日本大震災、消費税増税、この間の経済状況の中で、坂本参考人も指摘をした、払いたくても払えないという草の根の庶民の実態を全く無視して、マイナンバーを導入すれば二千四百億円の増収効果があるんだ、こういう試算というのは、私は国民を愚弄するものだと思います。このマイナンバー制度の効果の試算は直ちに撤回をすべきだと思います。

ことしの秋からのマイナンバーの通知を前にして、いまだにまともな費用便益分析を示すことができていないというのは、そもそも巨額の投資に見合う便益がないということを示しているのだ、そういうことを強く指摘して、質問を終わります。

ありがとうございました。