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「枠の外の美~声なきところの物語」トークセッション開催しました!


5月30日、画家・林美蘭×池内さおりトークセッションを、オンラインで開催しました!

林さんは今年2月から池内事務所にて、個展「枠の外の美~声なきところの物語」を開催。「社会の枠の外を生きざるをえない人達がもつ、尊厳や本質的な美しさを表現したい」と、女性やホームレス、性的マイノリティなどをモチーフに描いてきた15点の作品を展示しました。

トークの冒頭では、それぞれの作品のテーマや背景、込められた思いを林さんが解説。その制作姿勢と池内さんの取り組み課題とが共鳴しあった出会いも語られました。

トークは、芸術の中のジェンダーバイアスにも発展。

ジェンダー視点に基づいて、名作とされる過去の作品への再評価が進んでいます。林さんは、長く男性が描き手であった西洋絵画の歴史の中で「女性」がいかに描かれてきたのか、という変遷を、実際の作品例を参照しながら解説。
同じ裸婦でも、神話の登場人物と現実の女性を描くのでは全く意味が違ったこと(現実の女性はダメだけど、神話としてだったら心置きなく、裸が描ける・観れる…)、「赤」という色が持っていた意味(伝統絵画では「神の慈愛」、日本では…?)などなど…。
これまで何気なく目にしてきた有名な作品たちの見方が、ぐっと深まります~!

そうした絵画の歴史をふまえると、「女性として女性の美を描く」という林さんの取り組みはすごく新しい可能性を持っているんだ!と、あらためて胸に迫りました。

後半には、オンラインで参加されている皆さんもカメラ・音声をオンにしたり、チャットを使ったりして、活発な発言が。
この日の参加は30人、9都県にまたがり全国各地からアクセスしていただきました!オンラインならではの、貴重な出会いに感謝です。
皆さんからの様々な質問から、文化予算の拡充の必要性、自由な美術教育のあり方、政治とアートとの関係性などなど、多岐にわたり議論が深まりました。

私たちの生活に欠かすことのできない芸術・文化。
欧米各国や韓国、台湾などでは、公共の建築物を建設する際の費用の1%を、その建築物に付随する芸術のために支出しようという「1% for arts」という考え方が法制化されているとのこと。

しかし、日本の文化予算は、国家予算の0.11%ほどにすぎず、フランスの0.88%、韓国の1.05%など、諸外国と比べてもあまりにも少なすぎます。
池内さんは、日常的にアートに触れられる環境づくりや、個々人の可能性をきり拓く自由な美術教育の保障などのために「もっとガツっと予算をつけて、各地の文化を多様に発展させる、文化芸術を守る、そういう政治に変えていきたい」と語りました!

お2人の楽しく深いトーク、参加してくださった皆さんの多様な問題意識とコミットメントで、IKEBA初のオンライントークは非常に充実した2時間となりました。

参加された方からは、

「絵を通して疎外されている人たちに視点をあてた林さんのメッセージと、社会から認知され難い状況に置かれている方々のために、政治家として迫力を感じさせる活動をされている池内さんのトークはよく噛み合っていました」

「美術と政治が堅苦しくなくフラットなレベルでかたられていることが新鮮で、驚きました。いつもは切り離されてしまいがちな二つの分野が、林さんと池内さん、アーティストと政治家で(しかもわかりやすく、おもしろく)お話をされることで、 その断絶がなくなったように感じました。」

など、たくさんの嬉しいご感想をよせていただきました。
ありがとうございました!